教育福祉常任委員会の動き②提言書(2023年3月議会での一石委員長の報告から)
2023年12月末に教育福祉常任委員会から提出された協働の「二宮町子どもの権利条例制定」を求める提言書が2024年3月議会で委員長報告として読み上げられました。
2023年4月、日本国内の深刻な少子化、子どもの貧困、先進国で突出した子ども若者の自殺者の増、不登校等問題行動が過去最高の件数に上るなど深刻な社会状況を受けて、子どもの権利に根差した子ども基本法が施行された。
国は現在、こども大綱制定に向け、子ども、若者、専門家、市民研究団体とフォーラムを数回開催、未来に向けた革新的な議論を重ねているところだ。
子どもの権利とは国連が採択した国際法で、日本がすでに30年前に批准している子どもの権利条約で表された理念である。
世界の智賢を集めて優れた以下の4つの基本方針に則って発布された。
- 命を守られ、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう支援を受けること
- 子どもにとって最も良いことは何かを第一に考えること
- 自分に関わることについて意見を表明し、参加できること
- どんな理由があっても差別されないこと
二宮町は、小さい自治体ならではの、教育、子育ての施策推進に尽力してきた。
しかしながら社会の構造的な課題から不登校児童生徒や重層的な困難を抱える子どももかつてない増加となっている。教育福祉常任委員会では今を生きる子どもたちの待ったなしの状況に抜本的な変化を起こすには、子どもの権利の基本的な視点が非常に有効であるとの観点から調査研究をしてきた。
二宮町は住民力のまちだ。歴史的に子どもたちの育成を支える多様な団体が町とつながり長年尽力されてきた。一方、新たな子育て世代自ら作る子どもたちの遊び、居場所、食、学びにかかる10を超える活動がここ数年で生まれてきた。
委員会の調査研究の一環でこの新たな団体の活動紹介をいただいたが、国同様の未来に向けての危機感と、ここのところの気候非常事態宣言にも謳われたわが町特有の「千年続くまちづくり」を見据え、「人間の自然の力」を生かして子どもたちを支えたいという意欲に圧倒された。
一方で、一同が集まり議会委員会の場で説明することでお互いの理解が深まったことを非常に喜ばれた。議会報告会の子どもの権利に係る意見交換ではこれらの代表の方々から貴重な意見をいただき、子どもの権利条例をこの町が持つことを望まれていること、この町が子育ての先進的な町になる具体的な望みを持たれていることを共有した。
議会がハブとなり、住民力を生かした議論と学びの場を協働で作る可能性を確信した次第である。
子育て・健康課では、児童福祉法が子どもの権利条例を勘案して作られていることから施策は子どもの権利にある程度基づくものだが、この度のこども大綱に合わせてさらなる子どもの権利に注力した新たな計画策定にかかるところだ。子どもたちを新たな社会資源のネットワークで支えることが必要とされていることからもこの町独自の住民参画の議論が必要である。
学制150周年の今年度、小中一貫教育二宮学園が実働となった。児童生徒の一人一人が子どもの権利の主体であることを知ることで、9年間を通して安心して自ら発し協働し創る学校生活に寄与したい。子どもたちから保護者、地域に学びが広がる貴重な機である。地域と共にある学校を通して子どもたちと共に多世代に波及する仕組みを協働で研究したい。
また、施設再編課では公共施設再配置の一環で新庁舎・駅周辺公共施設再編計画を推進するところだが、この町特有の子どもの権利の思想が反映されることが必要だ。
また生涯学習の観点からも図書館等公共施設の設計、運営にもいかされるべきだ。
まずは、子どもを真ん中に町ぐるみでこの子どもの権利の4つの理念を学び、町内の子どもから大人までにいきわたることで二宮町が子育てのまちとして信頼され、幸せな子どもたちが育つ力となると考えた。さらに町民、議会、行政が得意分野を分担し、協働で条例骨子まで議論を醸成することで二宮の社会資源を生かす体現策につながることが期待される。
以上の理由から、行政、議会、町民が役割を担い、協働して二宮町が子どもの権利条例制定に向かうことを要望する。